BOOKLOVE読書会

普通とは何か?【2019.9.28 「コンビニ人間」読書会レポ】

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こんにちは。本や+α店長あまこです。

9月のブックラブ読書会のレポが棚瀬部長から届いたのでご紹介します!

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こんにちは。BOOKLOVE部長の棚瀬です。

今回の課題本は本屋+α店長の高木亜麻子さんに選んでいただいた村田沙耶香の『コンビニ人間』でした。

長年コンビニバイトを経験してきた作者の実体験を取り入れて書かれた作品で、2016年に芥川賞を受賞しています。

あらすじ

36歳の独身女性、古倉恵子は18歳ではじめたコンビニエンスストアでのアルバイトを18年も続けている。日常生活では周囲となじむことができず変わり者として見られているが、コンビニ店員をしているあいだは「普通」の人間としてふるまうことができるのだった。そんなある日、婚活目的でバイトをはじめた男性、白羽が現れたことで平穏だったコンビニバイト人生に波紋が広がっていく・・・

参加者の皆さんの感想

・「普通とは何か」を読者に対して問いかけている小説だと思った。「普通」であることを押し付ける社会の理不尽やそれに屈してしまう少数者の姿に共感を覚えるところがあった。

・主人公が他者を見つめるときの描写がとても緻密で、普段から作者が人間をよく観察していることが感じられた。

・風変わりな小説で、普段はあまり読まないジャンルではあったが、「食べにくいものも食べる」つもりで読んだ。仕事で主人公の女性のようなタイプの方と接する機会があるため、自身の体験と重ねて読むことができた。自分と異質なものを排除することは特殊なことではなく、人間のDNAに組み込まれているのではないか。

・主人公の女性はおそらく発達障害なのではと思ったが、なにが障害であるのかの線引きはとてもあいまいで、周囲が断定すること、無理に治療させようとすることには危うさがある。

・共同体における行動様式である「因習」が本書の大きなテーマだと感じた。都市化に伴い徐々に消滅しつつあるが、現在でも少なからず存在する。違反者に対しては非難や制裁が加えられるという社会通念の断面を描いた作品ではないだろうか。それを簡単に変えていくことはできないが、どのように向き合うべきなのかということを考えさせられた。周囲に合わせて自分を変えるよりも、自らの心を大切にしていくことが重要なのではないだろうか。

まとめ

少し変わった女性が主人公の小説ということもあってストレートに「面白い」といえる作品ではないかもしれませんが、参加者それぞれが自分自身の体験や仕事に対する思いなどを重ねながら感想を語り合ってもらえました。

私はこの小説を読むのは二度目でしたが、最初に読んだ時よりもずっと引き込まれました。

主人公の古倉さんは一見ただの変わり者のようですが、仕事に対する熱意や周囲の人間に対する鋭い観察眼を持っている女性で、個性がないことが逆に強烈な個性になっているという人物です。

古倉さんに対してしきりに恋愛や結婚、定職を勧めようとする同級生のほうが、他人が決めた枠組みに無理矢理自分自身を当てはめようとしているように見えることは、作者の強烈な皮肉であり社会そのものに対して大きな疑問を投げかけているようでもあります。

作者の村田沙耶香は作家仲間からは「クレイジー沙耶香」と呼ばれているそうですが、そんなちょっと変わった人が書いた小説が芥川賞を受賞し、世界各国で翻訳させているというのは、それだけ「普通」という価値観に疑問を持つ人が多いという裏返しなのかもしれません。

芥川賞受賞作、と聞くと少しとっつきにくさを感じるかもしれませんが、文章はとても読みやすくとりあげられているテーマも共感しやすいものなので、ぜひ多くの方に読んでもらいたいです。

読書会で紹介された村田沙耶香作品

殺人出産

10人産むと1人殺せる、という殺人出産法が施行されている100年後の日本を舞台にした小説。人の命の価値や殺人の是非、結婚観や性的な価値観が題材にされていて「コンビニ人間」よりもさらに過激な描写が多く、読むのには覚悟が必要かもしれません。

マウス

周りを気にしすぎる女の子と、周りを気にしすぎない女の子の変わった友情物語。学生時代の女子特有の人間関係の描き方が非常にリアルで、共感する人も多いのでは。「コンビニ人間」と似たようなテーマですが、こちらのほうがソフトで読みやすいです。

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今回、私の選んだ本での読書会だったので、いつも以上に楽しみにしていました。

ちょっとクセのある本でしたが、「面白く読めた!」という方が多かったのは、やはり本や+αに集まってくるのは「ちょっと変わった」方が多いからなのでしょうか?

様々な考察があり、とても面白かったです。

最後、主人公が「自分らしく」コンビニで生きていくことを決意する場面は、すがすがしくハッピーエンドのように感じていましたが、よく考えたら、そもそもコンビニ自体が均質性の代表のようなもの。そこに「普通でない」主人公が居心地の良さを感じる、という矛盾に気づき、この本の深みを感じました。

また色々な方の感想を聞きたい本だなと思いました。

次回の読書会は

10月12日   課題本:『大家さんと僕』

https://www.facebook.com/events/632558357269957/
(↑Facebookイベントページに飛びます)

お待ちしております!

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