BOOKLOVE読書会

世代を超えたふたりの絆【「大家さんと僕」読書会レポ】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

どうも、ブックラブ部長の棚瀬です。

1月25日に開催された読書会のレポートです。

今回の課題本は矢部太郎の「大家さんと僕」

ひょんなことから高齢の大家さんとひとつ屋根の下で暮らすことになったお笑い芸人の著者が、大家さんとのなにげない日常の風景を切り取ったコミックエッセイです。

2017年に刊行されて以来、何度も版を重ね70万部以上のヒットとなった作品で、手塚治虫文化賞短編賞を受賞するなど各方面で話題になりました。

□参加者の方の感想

大家さんと主人公は祖母と孫くらいに年が離れているけれど、とても仲良くなっていて素敵だと思う。親族以外のお年寄りとこんな形で仲良くなれる機会はなかなかないのであこがれてしまう。

普段から大家さんくらいの年代のお年寄りと関わる機会が多いが、娘のように接してくださるので、うれしく思っている。大家さんのような年の取り方をしてみたい。

学生時代に下宿で生活をしていた時期があったが、生活様式のちがう者同士が同じ空間で暮らすことは息が詰まることもあり、適度な距離感が大切だということが身を持ってわかった。この本の大家さんと作者の関係のように、親しく接してはいてもお互いに礼儀を忘れない姿勢が素敵だと思う。

近所の人と親しい付き合いをするのは苦手なところがあるが、こんな関係にあこがれを持つ人が世の中に多くいるからヒットにつながったのではないだろうか。上品でおしとやかな大家さんがとても可愛らしく思えた。

作者はこの作品でブレークにつながりテレビに出ることだけが芸人としての仕事ではないのだと思った。昨年末のM1グランプリに出演したぺコパというコンビの、人を傷つけないスタイルの漫才が話題になったが、この作品にも通じるものがあるように思う。AIやコラージュを利用した往年のスターの再演が話題になっているが「昭和回帰」ともとれる兆候があるのではないか。新しいものをどんどん作り出すのではなく古いものの中にも優れたものはたくさんあると気づけるのはよいことだと思う。

□関連絡品として紹介された小説

湯本香樹実「ポプラの秋」

あらすじ:父親が亡くなった後、母とともに庭に大きなポプラのあるアパートに引っ越した少女が、大家のおばあさんから「天国にいる人に手紙を出すことができる」という不思議な話を聞く。

こちらも素敵な大家さんが出てくる、人と人のつながりを描いた作品です。

□まとめ  

コミックエッセイというとても読みやすい形式の作品ですが、人と人の付き合いにおける大切なことや相手を思いやる気持ちといった、近頃では軽視されがちなことが丁寧に描かれていて、そんなところが大ヒットにつながったのではないかと思いました。

高齢になっても自分の生活リズムや礼儀を忘れない上品な大家さんのような年の取り方をしてみたいという声が多く聞かれました。

ただ仲がいいだけではなく、ときには喧嘩をしたり嫉妬をしたりと、恋人とも友人とも違う不思議な関係性の2人ですが、眺めているとほほえましい気持ちになります。  

作者の矢部太郎は、お笑い芸人としては売れているとは言えないかもしれませんが、この作品では漫画家としての才能をいかんなく発揮しています。

テレビに出て活躍することだけが芸人の仕事ではないことを証明していて、時代の先を行っていると感じました。

□次回予告  

次回の読書会は2月16日(日)。

テーマは「村上春樹」です。 

いつものように課題本の感想を持ち寄るのではなく、村上春樹の作品について語り合う会です。春樹作品なら小説、エッセー、コラムなんでもOKです。

海外での評価も高い日本を代表する作家についてぜひ語り合いましょう!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメントを残す

*