BOOKLOVE読書会

いちばん大切なことって何?【2020.5.23 「星の王子さま」読書会レポ】

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BOOKLOVE部長の棚瀬です。

5月23日㈯に行ったBOOKLOVE読書会のレポートです。

今回もコロナ自粛中ということで、Zoomで開催しました。

今回の課題本はサン・テグ・ジュペリの「星の王子さま」。
1943年に出版されて以来、何度も版を重ねている児童文学の名作です。

□「星の王子さま」あらすじ

砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子は、生まれ故郷の小さな星を後にして地球にたどり着いた小さな王子だった。「僕」は王子から故郷に残してきた大切なバラや、地球にたどり着くまでに出会った奇妙な星の住人たち、物知りなキツネの話を聞いていくうちに、やがて王子のたった一つの望みを知ることになる。

□参加者の感想

学生時代に出会って以来、ずっと大切にしている作品です。読みやすい語り口で老若男女にお勧めできる物語ですが、子どもの心を忘れない大切さを教えてくれる素晴らしい作品です。思わせぶりで謎めいたストーリーですが、フランス文学=難解というイメージがこの作品で定着したように思います。王子の恋人のような存在であるツンデレなバラは作者の妻がモデルだとされています。

これまで何度も新しい翻訳で出版されていますが、日本で初めてこの作品を翻訳した内藤濯(ないとうあろう)氏によって「星の王子さま」というタイトルが付けられたそうです(フランス語の原題は「小さな王子」)。翻訳者によってセリフが違うシーンがいくつかあり、 「飼い慣らす」⇔「なつく」 「無駄にした時間」⇔「費やした時間」など訳によって受け取るイメージがかなり違ってくるのが面白いです。

王子が地球に来るまでに出会う奇妙な惑星の住人達の姿からは近代文明に対する皮肉が感じられました。決められた仕事しかできないガス灯の点火人や意味のない計算を続けている実業家などの姿を通して、働くことの本質や何のために生きるのかといった哲学的なテーマを描いた物語ではないでしょうか。

名作と呼ばれることが多い作品ですが、初めて読んだ時にはそんなに良いと思えませんでした。一貫した筋のある物語ではないため、どんなメッセージが込められているのか掴み切れないところがありますが、読み返すたびに違うところに引っかかります。癖のある登場人物が多く登場しますが、作者の分身でもある主人公の「僕」に一番共感を覚えます。印象的な場面はいくつかありますが、王子が日入りを眺めるシーンが特に気に入っています。

子ども向けの作品とされていますが、王子とバラのやりとりや悲しさの残るラストシーンなど、大人にとっても充分読み応えのある物語だと感じました。最近読んだ本の中に「わかりにくい本の方が名著になる」という言葉があり、この作品にも当てはまるのではと思いました。一読しただけでは意味が分からないセリフや場面についてほかの読者と話し合い、何度も読み込まれることによって時代を超えて読み継がれる名作となっていくのではないでしょうか。

今回の読書会で改めて読み込んでいるうちに、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思い出しました。直接の関連はありませんが、子どもが主人公であること、星のあいだを旅すること、登場人物が亡くなって終わるところなど共通点が多く、どこかで世界線が繋がっているのではと空想を広げると単なる読書とは違った楽しさがあります。

□「星の王子さま」名言集 (河野万里子 訳より)

「他人を裁くより、自分を裁く方がずっとむずかしい。自分をきちんと裁けるなら、そちは真の賢者ということだ。」

「そうよ、わたし、あなたを愛してる」花が言った。「知らなかったでしょう、あなた。わたしのせいね。どうでもいいけど。でも、あなたもわたしと同じぐらい、ばかだった。幸せになってね……」

「人間たち?いると思うわ、六、七人。もう何年も前に見たわ。でもどこにいるのかは、さっぱり。風があちこちつれていくのよ。根がないんだもの、ずいぶん不便でしょうね」

「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」

「きみが星空を見あげると。そのどれかひとつに僕が住んでるから、そのどれかひとつでぼくが笑ってるから、きみには星という星が、全部笑ってるみたいになるっていうこと。きみには、笑う星々をあげるんだ!」

□編集後記 

名作、と呼ばれる作品は世の中にたくさんありますが、この「星の王子さま」はそんな中でも異質な存在といえるのではないでしょうか。

小説と呼ぶには一貫性に欠けるように思え、童話と呼ぶには難解で思わせぶりな表現が多用されているように思えます。

今回の読書会では、「とても印象に残っている」という意見と「名作だとは思うけれどいまいちよさがわからない」という対照的な意見があり、読者によって感想が大きく異なる作品だと感じました。

私も後者の立場だったのですが、参加者の皆さんの意見を聞いてセリフの意図や隠されたメッセージを無理に読み取ろうとするのではなく、純粋に物語を楽しみながら読むことが大切なのではないかと思えました。

何年か後に改めて読み直してみたいです。

「わかりにくい作品の方が名作になりやすい」そんな逆説的な言葉がぴったりくる物語でした。

□次回予告

開催日:6月20日㈯

課題本:動物が登場する本 次回は久しぶりにオンラインではなく、対面形式での読書会です。 課題本は「動物が登場する本」ということで動物が出てくる本ならばどんな本でも構いません。あなたのおすすめをぜひ教えてください。

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